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2009年10月

2009年10月 6日 (火)

イスラム金融(34)IFSBのイスラム金融セミナーへ行ってきました(その1)

ブログを書くのは本当に久しぶりです。

本日は9月28日と29日にマレーシアのクアラルンプールにて開催されたIFSB(Islamic Finance Service Board)の"Legal Issues in the Islamic Financial Services Industry"と題する第4回セミナーに出席した結果報告を致したいと思います。

このセミナーに出席することにした理由は、

1. セミナーのテーマが倒産リスクとの関係やコモン・ロー(common law)やシビル・ロー(civil law)との関係など、筆者が日頃関心を懐いている論点を扱っていること

2. セミナーの参加者との意見交換(特に、サウジ・シェブロン・プロジェクトにかかるファイナンスの担保パッケージに関与されたMcMillen弁護士の話を聞きたかった)

3. クアラルンプールの法律事務所でイスラム金融に現に従事している弁護士を訪問し、色々と教授して頂くこと

にありました。幸運にも上記の3つの目的は全て達成することができ、わざわざマレーシアまで出かけた甲斐がありました。

なお、上記のコモン・ロー(comon law)とシビル・ロー(civil law)という用語ですが、法律に詳しくない方のために(実は知り合いから「オマエのブログは難しくてよくわからない。」とお叱りを受けました。)説明を致しますと、判例法を採用している英米法系の法律をコモン・ロー(common law)と言い、制定法を採用しているヨーロッパ大陸系の法律をシビル・ロー(civil law)と言っています。我が国は後者に属します。(非常に大雑把な説明ですが、一応このように考えてください。)

ご参考のためセミナーの宣伝のページへのリンクを貼らせていただきます。→http://www.ifsb.org/legal2009/

本当はセミナーの会場で配布された日程表をアップロードしたいのですが、ファイルのサイズが大きく、ココログのサービスではアップロードできないので断念しました。

実は筆者にとって今回が初めてマレーシア訪問でした。湿気が多く暑い。そして南国特有のスコールが時折訪れては、直ぐに晴れるという気候ですが、クアラルンプールの市街地は近代的なビルが並んでおり、東京とあまり変わりません。空港では容易にタクシーを拾うことができますが、地元の弁護士の話では、道路が混雑していることがあり、KLIA EKspres(→http://en.wikipedia.org/wiki/KLIA_Ekspres)を使うべきだとのことで、筆者もそのようにしました。空港からKL Sentral駅まで28分です。確かに、セミナー会場からホテルへ戻るためのタクシーを呼んだのですが、なかなか到着せず、1時間以上待たされましたので、この都市においてタクシーで移動をするのは遅刻リスクがあるかも知れません。なお、空港からタクシーを拾う場合には、空港でタクシーチケットなるものを買うようにとのこと。日本とはシステムが違いますね。

セミナーの会場はBank Negara Malaysia(マレーシア中央銀行)のセミナーハウスのようなところでしたが、その場所が分からず初日はBank Negara Malaysiaの本部ビルまで行ってしましたが、ご親切にも本部ビルとセミナー会場のビルを往復しているシャトル・バスに乗せていただき、かろうじてセミナーの開始に間に合いました。セミナー会場の地図(「venue_of_seminarmap.pdf」をダウンロード )にあるように本部とは少し離れたところにセミナー会場があり、周囲は緑に囲まれた美しい環境でした。

何だか旅行案内のような記事になってしまいましたので、本題に戻りますが、約200人の出席者で20カ国から来ているとのこと。韓国の金融監督庁からIFSBへ出向している方と知り合いになったのですが、同氏によれば、日本を含む極東地域からの出席者は筆者だけだとのことでした。我が国のイスラム金融に対する関心は冷めてしまったのでしょうか?ちょっとさびしい感じがしました

隣に座っていた人やコーヒーブレークの時間などに出席者の出身地を聞いてみましたが、大半の人たちは地元のマレーシアの方々で、銀行家または弁護士の方が多かったように思います。

セミナーの全体の印象としては、いずれのスピーカーの発言も金融危機前の「行け行けドンドン」的な強気の姿勢が薄くなっており、例えば「金融機関としての倫理の重要性」とか「シャリア委員会の注意義務と法的責任」といったテーマを扱っているせいか、一歩引いたような発言が多かった気がします。

ということで、本日は「金融法ブログ」とは言えない内容の記事になってしまいましたが、次回以降において、セミナーの内容やセミナー終了後に訪問をした法律事務所における弁護士の話などを扱いたいと思います。

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